具体と抽象(細谷 功)

質疑応答で質問者の意図とは異なる回答をしてしまうことはありませんか?
それは抽象度の違いからきている可能性があります。
本書を読めば解決の糸口になるかもしれません。

本の紹介文

プレゼンなどの質疑応答で質問の意図や背景とは異なる回答をしてしまうことはありませんか?
私もそのようなシーンがあり、上司より本書を勧められて手に取りました。

最近は何でも「具体的でわかりやすい」表現が求められています。
「抽象的な表現」は多数の人間を相手にした場合には徹底的に嫌われることが多いですが、本書はそこをテーマとしています。
「抽象」を扱う方法を、「具体」との対比で「わかりやすく」解説するのが目的としています。

質疑応答や打ち合わせの議論がかみ合わない時、それは抽象レベルが異なるやり取りをしていることが原因の可能性があります。

本書がそのような事例を解決する糸口になるかもしれません。

この本の要約ポイント

抽象化=枝葉を切り捨てて幹を見ること
特徴あるものを大げさに表現する代わりに、その他の特徴は一切無視してしまう大胆さが必要。

仕事というものは「抽象から具体」への変換作業である。

仕事の上流では内容が曖昧な概要レベルの計画ができる。
その後、詳細レベルの計画になり、それがさらに詳細の実行計画へと流れていく。
移行にともない、仕事をスムーズに進めるために必要な観点が変わっていく。

その仕事がどのようなフェーズ(抽象度)でどのような価値観が求められるのか。
場面ごとに判断することなく自分が普段生きている世界の価値観で判断しようとするのは危険な行為である。

具体的な行動とは関係なさそうな「哲学」を持っている人、そして組織の最も大きい利点は、無駄がなくなること。
哲学や理念を持たずに個別に判断して行動していると、場当たり的になる。

抽象化して話せる人は、「要するに何なのか?」をまとめて話すことができます。
膨大な情報を目にしても、つねにそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し、なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考えるからです。

抽象度の高い概念は、見える人にしか見えません。抽象化というのは、残念ながら「わかる人にしかわからない」のです。

周囲に「わけのわからないことを言っている」と感じる人はいませんか?
もしいたとしたら、こんなふうに考えるだけでも、仕事のやり方や世の中の見方が変わってきます。
「もしかしたら、私には見えていない抽象概念の話をしているのではないか」
「表面的なことではなく、そこからつながっている本質的なことを語っているのではないか」

高い抽象レベルの視点を持っている人ほど、一見異なる事象が「同じ」に見え、抽象度が低い視点の人ほどすべてが「違って」見えます。したがって抽象化して考えるためにはまず、「共通点はないか」と考えてみることが重要です。当然ここでいう共通点は「抽象度の高い共通点」です

とくに経験した世界が狭ければ狭いほど、他の世界のことがわからないにもかかわらず、自分の置かれた状況が特殊であると考える傾向があります。多種多様な経験をすればするほど、「ここの部分は違うが、ここの部分は同じだ」というふうに共通部分にも目が向けられるようになってきます。

重要なのは、他人や他社の成功なり失敗なりが本質的に何に起因しているのか、抽象度を上げた特性を探り当てることです。そのうえで「同じ」なのか「違う」のかを判定するのです。具体レベルの見た目や表面的な相違をもって「違う」と言っていては、「一を聞いて十を知る」という抽象化の威力を発揮させることができません。

自分のアクション

  • 議論がかみ合っていなかったら「抽象度のレベル」があっているかを見直す。
  • 仕事ができる人からの話で自分が理解できなかった時に、自分には見えていない抽象概念の話かを考えてみる。
  • 自分では異なる事象でも同じに見える話があったら抽象度の高い共通点を考えてみる。

本の情報

【書籍名】具体と抽象
【著者名】細谷 功
【出版社】dZERO
【出版日】2014/11/27